東原CEO日立製作所の東原敏昭社長は2025年度にはデジタル化のソリューション事業「ルマーダ」で売上高2兆数千億円、20%の営業利益率を実現することも宣言した 写真提供:日立製作所

日立製作所が、財務や調達といった本社機能の一部を買収した海外企業に集約することで1000億円の収益改善効果を出すリストラ策を打ち出した。このリストラによる実質的なコストダウン効果は1400億円になる。数千億円から1兆円規模の事業の売却と買収を繰り返し、選択と集中をほぼ完了した日立は、M&A(企業の合併・買収)の成否を決めるシナジーの創出に本腰を入れ始めた。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

日立金属のファンド売却で
事業の入れ替えは「9割5分終了」

「資産の入れ替えは9割5分終わった」。日立製作所の東原敏昭社長兼CEO(最高経営責任者)は、上場子会社の日立金属の売却を発表した4月28日、グループ再編の終結宣言をした。

 日立金属を、米投資ファンドのベインキャピタルと日本産業パートナーズ(JIP)、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)の日米ファンド連合に売却することで、日立に残る上場子会社は日立建機1社になる(上場子会社は、親会社と少数株主の間で利益相反が起きやすいため、完全子会社化するか、あるいは売却するかの方策で解消することが望ましいとされる)。

 日立は事業売却を進める一方で、米IT企業、グローバルロジック(買収額約1兆円)、スイス重電メーカー、ABBのパワーグリッド事業(現日立ABBパワーグリッド、同7500億円)などの巨額買収を行ってきた。

 今後は、日立本体と買収した企業との間でいかにシナジーを発揮し、「高値づかみ」とも言われた買収資金を回収するかが焦点となる。

 そこで日立が打ち出したのが、日立グループ各社の総務などの一部機能を海外に移転し、集約することによるコスト削減策だった。2021~25年度の累計で1000億円分の収益改善を目指す。

 東京本社の間接部門の人員を削減することも視野に入れる「攻めのリストラ策」とはどんなものなのか。