デジタル化の事業へのシフトを進める日立製作所が、米IT企業、グローバルロジックを約1兆円で買収する。1年前は大規模な企業買収に慎重だった東原敏昭社長が、一転強気になり、電機業界過去最大級のM&A(企業の合併・買収)に打って出た理由とは。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
電機業界で最大級の巨額M&A
収益5倍計画の実現がデジタル化の試金石に
日立製作所がまたもや巨額買収を行う。2020年7月のスイス重電メーカー、ABBのパワーグリッド事業買収(総額7500億円)に続き、米グローバルロジックを1兆368億円で買収するのだ。
実は、東原敏昭社長は20年4月、ダイヤモンド編集部のインタビューで「(新型コロナウイルスの感染拡大で)株価が安くなったからといって1兆円の会社を買おうとは思っていない。(エリアや技術領域で補完関係にある)数百億円規模の会社を買えばいいんじゃないか」と話していた。
まさに「君子は豹変す」である。M&A(企業の合併、買収)に慎重だった東原社長が、企業評価額が膨れ上がったIT企業の買収に打って出たのだ。コロナの影響が見通せたことも当然その要因になっているが、より重要な理由が二つある。