今までなかったものがずっと残っていく

【出口治明学長】「そんなタイトルつけたら承知しませんよ」大阪・梅田の名物書店員が激白!「この本は、各出版社の編集に対する挑戦だ!」寺田庸二(てらだ・ようじ)
ダイヤモンド社書籍編集局第三編集部編集長
おもな担当書籍に、ダイヤフェア2021にもノミネートされた『哲学と宗教全史』(ビジネス書大賞2020特別賞、14刷11万部)『ザ・コピーライティング』(広告の父・オグルヴィ絶賛、25刷11万部)『志麻さんのプレミアムな作りおき』(料理レシピ本大賞入賞、22刷18万部)など。1998年から書籍編集をはじめ、全150冊(うち処女作26冊、最新処女作は『売上最小化、利益最大化の法則』)、生涯重版率8割。野球歴14年。「技術と精神がドライブがかった本を、孫の世代まで残る百年書籍を、光のあたらないところに光があたる処女作を」が3大モットー。
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寺田:この本の刊行は2019年8月8日でしたが、百々さんは発売前からこう予言していました。

この本はいつまでたっても数字は落ちませんよ

すると、本当にそのとおりの現実が訪れた。でも、よく考えるとこの本、2400円+税(税込2640円)ですから、普通に考えるとありえないことですよね。

百々:でも、僕ははじめから、確信していました。類書はなかったですし、日本人が最もコンプレックスを持っている哲学と宗教という極めて難しいテーマに橋を架けられる著者は出口さんしかいない。だから、今後も出てこない。「今までなかったものがずっと残っていく」と思えば、数字が落ちないのは当然ですから。

出口:僕は、その確信は、まったくなかったんです。寺田さんから「ダイヤモンド社の営業力は強い」と聞いていたので、そこそこは売ってくださるとは思っていました。けれど、タイトルが堅い『哲学と宗教全史』で、しかも本体価格が2400円でしょう。3万部いけば御の字、最大見積もっても5万部いったら「」だと。

寺田:そうだったんですか、出口さん。

出口:ええ。でも、堅い本って、だいたいそんな感じですよね。

寺田:たしかにそうですね。こんな堅い本で3万、5万部売れたらすごいことです。それが今回、10万部を突破して「ビジネス書大賞特別賞(ビジネス教養部門)」まで受賞したのですから、百々さんとしては当然かもしれませんが、僕らにとっては“小さな事件”です。

百々:ただ、この本をつくったことで、みんなA5判上製の本を雨後の筍みたいに出してくると思っていたのですが……。

寺田:その予言だけはちょっと外れましたか(笑)。