もちろん社長の右腕や役員、あるいは役員候補にぜひ、といったオファーの全てが悪いわけではありません。中には社長の右腕候補として声をかけられて転職し、実際にその通りの活躍をしている人もいます。

 しかし入社してみたらひどい状態の会社で、経営者と合わなかったり大企業と中小企業の違いに適応できなかったりして、結局、程なく退職していく人がいるのも確かです。

 こんな事例があります。誰でも知っている大手企業に勤務していた方が、知人の紹介で引き合わされた経営者に「新規事業を任せたい。役員として来てくれないか」と口説かれて転職しました。

 ところが入社してみると、新規事業の内実はとんでもなく危ういものだと判明しました。これは、一刻も早く辞めなければいけない。そう考えて退職を申し出たところ、経営者から「役員だから経営責任がある。辞めたら訴えるぞ」と言われ、トラブルに発展しました。

 この方も自分からそうとは言いませんが、やはり「役員で」という口説き文句が響いていた様子が見受けられました。それほどポジションは中高年にとって魅力的であり、かつ弱みになるのです。

転職のジャッジに必要な話を
聞ききれない中高年ビジネスパーソン

 問題はポジションの魅力だけに気を取られてしまい、十分な情報収集を怠りオファーの内容を吟味せず、よく分からない会社に転職してしまうことにあります。こうした事態を招かないためには、どうすればよいのか。

 大前提として、よく分からない会社からの役員や高位のポジションのオファーはリスクがありますから、大いに警戒して臨むべきです。またその会社のホームページなど、公開されている情報や入手可能な情報を入念にチェックしておくことも当然必要です。

 それに加えて、声をかけてきたヘッドハンティング会社や人材紹介会社が、どういうクライアントと取引があるかをチェックすべきです。そこから何らかの傾向が読み取れます。

 たいてい人材紹介会社のホームページには、主要クライアント一覧が掲載されています。もし主要クライアント一覧を公開していなかったら、安易に紹介を受けるのはやめておいたほうがよいと思います。

 また、役員や役員候補と言われているなら、面接においても求められている仕事の内容を社長から時間をかけてじっくり聞き、自分の全てをささげるに足るかどうかをシビアにジャッジすべきです。