ワクチン摂取写真はイメージです Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの封じ込めに成功している台湾は、海外ワクチンの購入については遅れていた。ワクチンの接種が始まったのは、日本より1カ月以上遅い3月22日である。しかし、海外渡航が必要なビジネスマンなどを対象にワクチンの自費接種(上限1万回分)を認めるなど、経済活動にも配慮。さらに台湾は自国産ワクチンの開発にも目途が立ち、年内には接種開始が実現する見通しだ。今回は台湾のワクチン対策について解説する。(アジア市場開発・富吉国際企業顧問有限公司代表 藤 重太)

海外ワクチンの
入手に苦労

 台湾の衛生福利部(厚生労働省に相当)の陳時中(Chen Shih-chung)衛生福利部長(厚労大臣)は2月17日、ラジオ局のインタビューで、米ファイザーと独ビオンテック(BNT)が共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、500万本の購入契約が最終段階でいったん保留されたと明かした。

 陳大臣は、その主な理由として、中国の上海復星医薬公司がBNTの中華地区の代理店であり、BNTはその契約を尊重し、その利益を守る必要があったと述べた。