「さざ波」発言よりも「崩壊する医療体制」の方が人命軽視ではないか写真はイメージです Photo:PIXTA

「さざ波騒動」は童話「はだかの王様」の構図と似ている

 有名な童話「はだかの王様」には、我々が目にしている「世界」が権威主義や同調圧力によって180度変わってしまう…という教訓が込められている。

 ペテン師によって、「バカには見えない服」を着た王様がパンツ一枚で街をパレードするが、大人たちはみな、自分がバカだと思われたくないので「素敵な服だ」なんて心にもないことを言う。しかし、小さな子どもが「何も服を着てないじゃないか」と大声で言ってしまう。権威や周囲への忖度がない分、見たことを素直に指摘して、王様が恥をかくという話だ。

 ただ、この「指摘」が現実社会でも、受け入れられて支持を得るのかというと、必ずしもそうとは言い難い部分がある。多くの人にとって「服を着てない」ことを認めるということは、これまで自分たちがテキトーに話を合わせていたことを認めることになってしまうからだ。

 もし、この童話に後日談があれば、この子どもは周囲から「バカ」とののしられ、陰湿なイジメにあったかもしれない。「教育が悪い」なんて親や家族まで石を投げられて、最悪、「バカのくせに大衆を煽動した罪」でしばり首などに遭っていたかもしれない。

 権威や同調圧力に屈している人たちが圧倒多数を占めている社会では、秩序を乱す「異分子」は徹底的に排除されるというのは、人類の歴史が証明している。

 つまり、「はだかの王様」の物語には実はもうひとつ、「誰の目に見ても明らかな事実を指摘しても、社会のムードにそぐわない場合は全方向からフルボッコにされる」という教訓を読み解くこともできるのだ。

 「そんなもんかねえ」とあまりピンときていない方も多いだろうが、実はこの「はだかの王様」の構図をこれ以上ないほどわかりやすく再現した炎上騒動がつい最近起きている。

 内閣官房参与をつとめる経済学者の高橋洋一氏による「さざ波騒動」だ。