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東京五輪が1番!一般市民は後回しで反発高まる 

 今から4カ月前の2021年1月、菅義偉首相は東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)について「人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証」「東日本大震災からの復興を世界に発信する機会」だと胸を張っていた。しかし、残念ながら今の調子でいけば、苦しむ自国民を見殺しにしながら「負け戦」へとつき進む「日本の狂気」を全世界に見せつけるだけになりそうだ。

 アスリートやその家族、関係者、そして五輪ファンの方たちには大変申し訳ないが、東京五輪への「逆風」がシャレにならないところまできている。

 まず、槍玉にあげられているのが、緊急事態宣言が、IOCのバッハ会長の来日予定日の前にピタッと終了するといういわゆる「バッハシフト」だ。五輪開催のための露骨な「東京は大丈夫ですよ」アピールに、休業や自粛を余儀なくされている国民の間で批判の声があがっている。

 また、「聖火リレー」への疑問の声も少なくない。緊急事態宣言の対象となっている自治体が「命を守るために出かけるな」「外で騒ぐな」「越境するな」と喉を枯らして呼びかけている。にもかかわらず、その横を、聖火をもった著名人が大量のスタッフの引き連れて練り歩くという矛盾を指摘する声が後を絶たない。

 既に炎上状態になっているが、さらに灯油をぶっかけた形になったのが、「看護師500人動員」と「選手用病院確保」だ。4月9日、東京五輪組織委員会(組織委)が日本看護協会に「大会にご活躍頂く看護職の確保に関するご協力について」という文書を送って、500人の看護師確保の協力を要請したという。また、JNN(TBS系列のニュースネットワーク)が報じたところによれば、組織委はアスリートが感染した際に収容できる指定病院の確保に動いているというのだ。

 国民に対してはさまざまな我慢を強いているにもかかわらず、東京五輪には医療資源をしっかりと動員する。まるで「五輪が1番、医療が2番、3、4がなくて、5に政治家、6、7くらいで国民」というかのようだ。そんな日本社会の「序列」があらためて明らかになったことで、国民の怒りが爆発しているのだ。

 東京五輪への風当たりが強くなっていく中で、永田町界隈ではある「暗闘」に注目が集まっている。菅義偉首相と、小池百合子東京都知事のどちらが先に「五輪中止」をぶち上げるのかというバトルだ。