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新型コロナの感染拡大が止まらない。欧米に比べ感染者は圧倒的に少ない日本だが、なぜ医療崩壊が起きているのか。複雑に問題が絡み合う医療体制の本質的な問題解決のために、「自民党厚労族」がもっと動くべきではないだろうか。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

医療崩壊の本質的な原因は何か

 菅義偉政権は、新型コロナウイルス感染拡大が止まらない東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県を対象に緊急事態宣言を再び発令した。経済への悪影響を考慮して、宣言に基づく措置は前回より絞られたものとなった。

 筆者は、「緊急事態宣言」の発令以前に政治がやるべき対策があったと思う。菅首相の対応が厳しく批判されているが、むしろ「自民党厚労族」がより前面に出て、医療体制の複雑な問題を、解きほぐして対策を立てていくべきだったと思う。

 また、緊急事態宣言の再発令については、違和感がないわけではない。

 欧米の新型コロナ感染者数は日本の約100倍を超えるなど、圧倒的に多い。一方、日本は感染者数が欧米に比べると少なく、人口当たりの病床数が群を抜いて世界で一番多い国だ。それにもかかわらず、医療逼迫(ひっぱく)や医療崩壊の危機が騒がれている。

 つまり、緊急事態宣言まで出して、国民の行動をさらに制限しようとしているが、国民の行動そのものが医療崩壊の危機の原因というよりも、むしろ、日本の医療体制、医療行政により本質的な問題があると思う。そこに手を付けるのが難しいので、国民により一層の努力を求めているのである。