日銀は、必死になって資産買入基金残高を増やしている。9月19日はプラス10兆円、10月30日はプラス11兆円と、上積みはものすごいペースだ。基金残高は現在の66兆円(9月20日時点)が、2013年末には91兆円に増える計画である。
日銀は、消費者物価の伸び率を引き上げて、デフレ脱却を目指すのだが、それが成果を挙げていない。おそらく、「基金残高を91兆円に増やしてもインフレは起こらない」というのが、金融関係者の大筋の合意である。
それに対して、政治家からは、日銀の金融政策は「小出しではダメだ」とお叱りの声がある。日銀にしてみれば、2ヵ月連続で10兆円、11兆円と増やそうとしているのに、「小出し」と言われるとさぞ心外だろう。
一体、日銀は何をすれば非難されずに済むのだろうか。
マネーを増やす方法
金融を通じて景気を良くする方法については、次のような「頭の体操」ができる。
(1)日本経済が1つの世帯だったとする。世帯収入は100万円。今、個人消費を収入100万円よりも大きな金額に増やせるのか。
(2)金融取引がない世界では、収入以上に消費支出を増やすことはできない。
(3)金融取引がある世界では、世帯は銀行から200万円を借り入れて消費を増やせる。消費支出は、手取り収入+銀行借り入れによって、100万円から300万円になる。
(4)この理屈で、銀行が企業・家計にどんどん資金を貸し付ければ、消費・投資は膨らんで、日本の経済成長率は上昇し、デフレは解消する。