現在の中東情勢には全体に既視感がある。イスラエルとパレスチナの新たな戦争は以前と同じ悲劇的な道筋をたどっている。突発的な暴力、民間人の犠牲をめぐるメディアによる非難の嵐、世界各地の抗議デモ、仲介希望者が競う合う外交上の大騒ぎ、米政府の対応をめぐるワシントンでの論争――。今回のガザ紛争への対処で米国が犯しかねない失敗が二つある。同等の大きさだが正反対の失敗だ。一つ目は、この紛争がイスラエル・パレスチナ関係の固定的事実を反映しているという点を見落とすこと。二つ目は、中東情勢と国際政治の潮流の変化がイスラエルとパレスチナの対立関係の基盤を塗り替えている過程を、過小評価することだ。イスラエルとパレスチナが敵対しているという事実は変わっていない。パレスチナ系アラブ人とユダヤ人との最初の大規模な衝突は1920年に起きた。その後は、平穏な時期と、衝突と無益な和平交渉の時期とが交互に訪れた。現在の紛争も、過去と同様のパターンをたどる可能性が大きいとみられる。やがて戦闘の勢いは衰え、何らかの形での休戦合意がまとめられるだろう。
【オピニオン】ガザ衝突で影薄い米国
イスラエル・パレスチナ紛争、変わらない現実と新たな構図
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