石原慎太郎都知事は、25日、緊急記者会見を開き、①都知事辞任、②新党結成、③衆院選出馬を宣言し、即日都議会議長に辞表を提出した。
石原氏のこの突然の言動は、当然のことながら日本の政治に大きな波紋を投げかけている。
各党は政策の違いを乗り越えられるか
かねてから、石原氏の新党構想は、自らの個人人気に加えて、“たちあがれ日本”と“維新の会”を両腕にしたいと考えているように見えた。もっと具体的に言えば、平沼赳夫氏と橋下徹氏が両腕として彼を支える形態と言える。
そして、新党の政治目標は、①統治構造の改革と②保守純化路線への転換の2つであるという印象を受ける。
ところが、第三極として仕分けられる小政党の間には、この2つの政治目標についてのかなりの温度差、優先順位の違いがあって、今後の勢力統合は容易ではない。
石原氏は記者会見で、「大眼目は官僚の硬直した日本支配を壊していくこと」と、統治構造の改革を最優先の使命にする姿勢を鮮明にしている。
おそらく橋下氏はこの姿勢に異論はないであろう。
しかし、保守路線と財政再建を共通項とする“たちあがれ日本”はそう簡単にはいかない。統治構造の改革にはむしろ無関心であるようにも見える。事実、記者会見後に石原氏が乗り込んだ“たちあがれ日本”の本部では、維新の会やみんなの党との大連合に異論が相次いだと言う(10月27日朝日新聞)。
しかし、もしも石原氏が本気で思想や政策の違いを乗り越え、過去の人間関係をも乗り越えて“統治構造の改革”の旗を揚げて呼びかけるなら、世論の圧倒的な支持を受ける可能性が高い。
その際、お膝元の“たちあがれ日本”が黙認してそれに従うのか。石原氏にとっては悩みの種であろう。