北極圏にある周辺諸国を今週歴訪しているアントニー・ブリンケン米国務長官は、中東情勢の緊迫を受けて、出足から相次ぎ予定変更や会合中止を余儀なくされている。イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの衝突が激化する中、ブリンケン氏は緊張緩和に向けた電話協議に奔走。出席したほぼすべてのイベントで中東問題に言及し、あらゆる場で米国内外の記者からの質問に応じている。国際社会で責任ある立場にある米国務長官が、外遊の途中で当初の予定から離れ、軌道修正を余儀なくされるのは今に始まったことではない。だが、ブリンケン氏が今週、同時に複数の問題への対処を迫られている状況は、米国の外交政策の焦点を中東紛争から中国へとシフトしたいバイデン政権にとって、大きな壁が立ちはだかっている現状を浮き彫りにする。