カメラが貴重品だった時代とは違い、現代では多くの人が撮影機能のついたスマートフォンを持ち歩いている。盗撮事案は増加の一途をめぐり、ネット上で拡散される被害も後を絶たない。この状況に歯止めをかけるものはあるのだろうか。(フリーライター 小川たまか)
国会議事堂内の女性用トイレでも…
盗撮事案は約10年で2倍以上増加
「国会議事堂内の女性用トイレで盗撮」という前代未聞のニュースが報じられたのは、ゴールデンウイーク直前の4月27日。新型コロナや入管難民法など連日のニュースで忘れ去られそうになっているが、5月11日には国会内で「異例の実況見分」が行われたという。
立法府である国会で起こった、あってはならない事態。必ず犯人を検挙してもらいたいと感じる。
実際のところ、盗撮事犯の検挙件数は目に見えて増加している。平成22年には1741件だった検挙件数が、令和元年には3953件にまで増加。約10年で2倍以上の検挙数となっている。(参考:法務省刑事法検討会資料:盗撮事犯の検挙状況)
増加理由の一つは、撮影しやすい機器を誰でも持つ時代になったことだろう。
同資料によれば、盗撮に使った機器については「スマートフォン」の増加率が大きく、平成26年に1824件だったものが、令和元年には2871件となっている。逆にデジタルカメラやカメラ付き携帯電話、ビデオカメラは減少し、スマートフォン以外で増えているのは小型(秘匿型)カメラ(359件から610件に増加)だった。
盗撮は被害に遭った人が気づかない場合も多いと考えられることから、実際の被害件数はこれの何倍にもなるだろう。