「いつも嫌な気分にさせる人」から自分を守る1つのコツPhoto: Adobe Stock

スタンフォード大学の行動科学者であり、スタンフォード大学行動デザイン研究所の創設者兼所長が20年かけて開発した「人間の行動を変える衝撃メソッド」を公開した『習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』(BJ・フォッグ著、須川綾子訳)が刊行となった。本国アメリカではニューヨーク・タイムズ・ベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、すでに世界20ヵ国で刊行が決まっている。
「ダイエット」「勉強」「筋トレ」といった日々の習慣から、「起業」「貯蓄」など大きな目標に向かう行動、悪習を「やめる」という行動、さらにはパートナーや子ども、部下など「他人の行動を変える」方法まで、行動の変化に関するあらゆる秘訣を網羅した驚異的な一冊だ。
著者はそれがどんな種類の行動であれ、すべて「能力・モチベーション・きっかけ」の調整によって変化を起こせると説く。本書の理論を頭に入れれば、今後の人生においてとても大きな武器となり財産となるはずだ。
では、具体的にどんな理論であり手法なのか。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

「真珠の習慣」を身につける

 自分にとって苦痛な状況から脱出したいなら、ここで紹介するスキルは非常に有益だ。

 私は長年、十分な睡眠を取ることが課題だった。睡眠の重要性はわかっていながら、睡眠不足が深刻な悩みの種になっていた。

 寝室内の音が気になって真夜中に目が覚めるのが原因のひとつだった。エアコンの送風機能のオンとオフが切り替わるときに、カチッと音がするのだ。私は性能のいいエアコンに取り替えようと思っていたが、もっと手っ取り早くて簡単な解決策があった。

 ある晩、目が覚めて、またカチッと音がすると身構えていたとき、この音を「顔と首をリラックスさせる」ためのきっかけにしようとひらめいたのだ。

 そこで「カチッという音を聞いたら、顔と首をリラックスさせる」という行動の「レシピ」をつくった。これはすぐに習慣になった。いまではカチッという音を聞くとリラックスする。

 このノイズが聞こえるとむしろ幸せな気分に包まれるようになった。よく眠れるようにリラックスしなさいと忠告してくれているのだから。

 私はこれを「真珠の習慣」と呼んでいる。最初は苛立たしかったきっかけが、やがて美しいものに変化したのだ。

「嫌な気分」が尾を引いてしまう

 私の例はあっと驚くようなものではないが、最近になって、友人のエイミーもこれを独創的な状況で利用し、同じような効果を得たことを知った。

 エイミーが取り組んだ問題ははるかに難しいものだったが、彼女はその中で見事な真珠の習慣を身につけた。

 エイミーは、夫と別れたあと、親権についてはようやく合意に至ったが、元夫は依然として彼女に腹を立てていて、顔を合わせるのが苦痛だった。それでも、まったく会わないわけにもいかない。

 数ヵ月後、エイミーはあるパターンに気づいた。元夫と不快なやりとりをすると、そのあと彼女はそれを一日中頭の中で繰り返し、苛立ちや怒り、罪悪感に何度も苦しめられるのだ。

 彼女はこの状況に手を打つことにした。