笑顔のビジネスウーマン「相手スタート」で考え、行動するには、マーケター視点が有用(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

「個」の時代と言われて久しい。だが、「個と言われても自分に特別な個性はないし……」という人も多いのではないか。要約者もそのひとりだ。他人の目を引く個性はないと自覚しており、特別にやりたいこともない。本書『マーケターのように生きろ 「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』は、そんな「個」の時代にどう生きていくべきか迷っていた要約者に、ヒントを与えてくれた。

『マーケターのように生きろ 「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』書影『マーケターのように生きろ 「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』 井上大輔著 東洋経済新報社 1760円(税込)

 著者である井上大輔氏は本書で、「マーケターとして生きる」ことを提案している。「マーケターとして生きる」とは、自分を表現するよりも「相手からスタートする」マーケター視点を持って生きることだ。相手が何を求めているかに思いをめぐらせ、それに応えるためにできうる限りのことをすればいい。そうして相手の期待に応え続けることで、強く求められる存在になれる。周りの人から求められる存在になることは、ひいては際立った「個」を確立することにつながる。

 本書では、これまでユニリーバ、アウディ、ヤフーでマネージャーを歴任し、現在はソフトバンクの広告部門でマーケターを務める著者が、マーケター視点を持つための方法を指南してくれる。具体例や図が豊富に含まれており、マーケティングに親しみのない読者にとっても理解しやすいつくりになっている。