西側の民主主義諸国では左翼、右翼、中道、ポピュリストなどさまざまな傾向の政権が誕生している。しかし、イスラエルで現在形成されつつある新政権は、こうした分類のどれにも当てはまらない。現在の交渉が計画通りにまとまれば、同国では近く、交渉にたけた中道派の人物に支えられた宗教的ナショナリストの首相が率いる政権が誕生する。アラブ人政党と左派政党も新政権を支持する見込みだ。
米国のリベラル勢力は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の退陣を間違いなく歓迎するだろう。ネタニヤフ氏は、過去10年にわたり民主党内での対イスラエル政策をめぐる分裂の象徴となってきた。しかし、今回の動きがイスラエルの政治、安全保障面での右寄りの方向性を否定するものととらえるのは、間違いだろう。新政権もこれまでと同じ方向性を維持する可能性が大きい。