テレビ取材が殺到した理由
「北海道・しーおー・じぇいぴー」で北海道の特産品を扱っていた2008年、ある仕入れ先から、
「足の折れたカニや端の切れたタラコを安くするから仕入れてくれないか」
と言われた。
品質はいいのに、わけあって安い。
食品版アウトレットといったところだ。
そこで私は、「わけありグルメ」専門の通販サイトを立ち上げ、サイズが不揃いのために正規品として販売できない道産品を2~7割引で販売した。
当時は、リーマンショック後の不景気の時期だった。
「見た目はちょっと悪いが、味はまったく変わらない安いカニ」「不揃いだけど激安でおいしいタラコ」などが受け、「お財布にやさしいグルメ」としてメディアに取り上げられた。
eコマース普及に貢献したサイトを表彰する「日本オンラインショッピング大賞」(EC研究会主催)の最優秀賞に選ばれたことも手伝い、メディアでの取材依頼はさらに増えた。
『みのもんたの朝ズバッ!』(TBS系)、『news every.』(日本テレビ系)、『はなまるマーケット』(TBS系)など当時の情報番組で次々と紹介され、その数は1年で30回に及んだ。
極めつきは『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)だった。
「眠れる在庫を“宝”に」というテーマで、当社の副社長が「見栄えの悪い夕張メロン」など、様々なわけあり商品を販売に結びつける様子が放送され、全国的なブームとなった。
最初のうちは取材を受けながら、「一発当てたかな。メディアがこれだけ宣伝してくれたら大ヒット間違いなしだ」と思っていた。
だが、その期待はあっけなく裏切られた。
売上も利益も上がらないことにすぐに気づいた。