『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が20万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
はじめまして。独学大全、大変興味深く読ませていただきました。もっと早くこの本に出会えたら良かったと、後悔しきりです。
質問ですが、体調を崩しているとき(重病ではなく、風邪程度を想定しています)は独学の手を止めて体を休めたほうが良いと思うのですが、そういうときはどういう風に思考を巡らせるべきなのでしょうか。
自分は後ろ向きで、やりたいことが沢山あるのに病気になるなんて、と悪いことばかり考えてしまいます。
予定が狂った分をどう取り戻すかなど、治ったらやることを考えるべきなのでしょうか。それとも、寝ている間でもできる独学を行うべきでしょうか。それとも、一切考えずに寝ておくべきか。
読書猿さんのご意見が聞きたいです
予定が狂っても、無理をしないほうがいい理由
[読書猿の回答]
私は体があまり丈夫でなく風邪などよく引くのですが、おまけに自己評価も高くなくよく落ち込みますが、寝込んだときや夜眠るときはせめて楽しいことを考えるようにしています。
たとえば、ブワイフ朝で宰相(ワズィール)を務めたアブドゥル・カセム・イスマイル・イブン・ハッサン・アバッドのラクダ図書館に、国会図書館の各専門室にある参考図書を全部乗せして、探したいものをつぶやくとラクダの書架が自ら駆け寄ってきてくれて探しものがめちゃくちゃ捗るところを想像したりします。
なお予定が狂うのは、ヒトが未来を予見できない以上、勉強に限らず普通にあることです。
『独学大全』には計画倒れという学習機会を得るためにも計画しろ、と書きましたが、遅れを取り戻すために無理をするよりも、「予定が狂った」という想定と現実が食い違った経験に学ぶ=学習機会を活かすことを考えた方が、長期的に見れば、リターンが大きいかもしれません。この学習機会は、自分について、自分の予定づくりの癖や偏り、体調の波や効率との影響など、多くの情報を与えてくれると思います。
風邪が治ったらこれだけのことが学べる、自分だけのための教材が手に入ったと思って、よく休んでください。
(補遺)
伝説のラクダ図書館については宰相閣下のラクダ図書館 ー 史上最大にして最良のライブラリー
リアルで現役のラクダ図書館については、『図書館ラクダがやってくる―子どもたちに本をとどける世界の活動』や次の記事を参照。Kenya's children of the desert find that knowledge comes on the back of a camel