4月模試から見る首都圏「中学受験2022」激化の予感中位校から中堅校へランクアップする女子校は2022年入試でも人気継続へ(富士見中学校高等学校/東京・練馬区)

ここ数年間、首都圏の中学受験者数は増加が続いている。この4月に実施された四つの模試の実施状況を見ても、2022年の首都圏中学入試は2021年よりも参加者が増加、より厳しい競争になりそうだ。(ダイヤモンド社教育情報)

三つの模試の受験者数は増加傾向

 緊急事態宣言の下で実施された4月の模試。2022年入試の受験生である小6生にとっては初めての力試しの機会とあって、その受験者数は本番の志願者動向を予想する上で参考になる。今回はまず、5日の日能研、11日の四谷大塚、18日の首都圏模試の受験動向を見ていこう。

 2020年の4月は、3月からの休校要請に続く初めての緊急事態宣言の下で、学校に通うことができず、入学式や始業式も取りやめ、にわかにオンライン授業などが私立校を中心に実施されていた。

 塾も対面授業が制限され、「密」を避けるため模試の会場実施も困難な状況だった。したがって、2020年の数値との比較は難しい。そこで、2019年と2021年の受験者数を比較してみたい。

 まず、最も多くの受験生を集めた四谷大塚は、全体平均で9.9%の増加となっている。特に女子の4科が+12.6%と大きく伸ばしており、2021年に続いて、女子校人気が継続しそうな動きを感じさせる。

 日能研は全体平均で2.3%の増加となっている。2020年4月にも模試を実施していたが、さすがにこのときは▲6%強と前年よりも減らしていたので、ほぼ2019年水準に戻った印象である。こちらは、男子の4科が1%減なのに対して、2科は+8.8%、女子の2科も+7.1%と、2科の模試受験者が大きく伸びている。とはいえ、母数で見ると4科に比べて2科の受験者数は10分の1程度なので、まだ少し学力に自信がない受験生が少々増加気味なのかという程度の感触だろう。

 中位学力層に厚みがある首都圏模試は、全体平均で+21.1%と大きな伸びを示している。女子の2科を除けばいずれも2割台の増加であり、昨年小5生としてコロナ禍でお手上げ状態だった公立校に見切りを付けた層が、私立中学受験にシフトしてきたのかもしれない。こうした中学受験生のボリュームゾーンが拡大傾向にあるということは、2022年入試は全体的に2021年より厳しい競争状態になる可能性が高いことを示している。