大きく異なる模試の偏差値
中学受験生にとって塾は欠かせない。それと同様、自分の学力を客観的に把握するため欠かせないのが模擬試験である。例年4月に始まって、毎月のように実施されている。5月下旬に出た4月模試の結果については、またの機会に触れるとして、今回は新型コロナ禍に翻弄された2021年入試で、前年より3以上偏差値が上がった入試について見ていこう。
この連載でも受験者動向を占うため、2020年は4大模試の志願者状況を踏まえ、9月模試以降、その結果を踏まえた記事を毎月のようにお届けした。
ここでいう4大模試とは、SAPIX「公開模試・テスト」、四谷大塚「合不合判定テスト」、日能研「全国公開模試」、首都圏模試センター「統一合判模試」を指す。通っている塾によって受ける模試はおおむね決まっているものの、志望校に合わせて別の模試を受けることもあるだろう。
SAPIXは小6対象に「合格力判定サピックスオープン」を9月から12月に4回実施している。登録された10校までの志望校について合格の可能性を判定する。SAPIX在校生に加えて、難関校志望者が力試しに受ける傾向がある。
受験者数では最大級とみられる四谷大塚「合不合判定テスト」。小6対象には4月、7月、9月、10月、11月、12月の6回実施される。最大6つの試験までエントリーでき、この連載でも、原則としてこの合不合80偏差値(合格可能性80%)を使用している。
日能研は首都圏を中心に全国で約1万2000人の受験生が参加する。小4から「実力判定」「志望校選定」「志望校判定」「合格判定」という4段階のテストを重ねていくことで志望校を明確にしていく仕組みだ。中堅校の志望者が多いこともあってか、中学受験のボリュームゾーンの中堅層のデータ変動が的確に見られる傾向にある。
前3者とは異なり、主催が塾ではない首都圏模試センター。小6を対象とした「統一合判模試」も四谷大塚と同じ月に同じく年6回開催される。こちらは中小個人塾に通う受験生の参加も多く、中位・下位校の偏差値も表示される傾向にある。
では、まずはSAPIXの偏差値変動から見ていこう。次ページには3以上偏差値が上がった入試を入試日順に示してある。