米連邦準備制度理事会(FRB)の幹部らは最近、「ベース効果」について語る機会が増えた。ベース効果は、現在の経済状態を1年前と比較する場合に関係してくる。こうした前年比較を行えば、経済が時間とともにどう変化したかという感覚をつかむことができる。企業利益も前年比較に基づいて判断されることが多い。問題は、1年前に何か異常事態が起きた場合だ。前年比較を行う際の基準値に歪みが生じてしまうからだ。企業の利益がある年に落ち込み、その翌年に通常レベルにまで回復した場合、実際には本来の水準に戻っただけなのに急増したかのように見えてしまう。いい例がある。S&Pグローバルによると、S&P500種指数を構成する企業の1株利益(EPS)は、2021年1-3月期に前年同期比で225%増加した。これは20年1-3月期のEPSが急減したことが一因だった。