屋島の合戦で名を上げた
あのヒーローも即成院の信者

供養塔の前で。自身で集めた即成院の御朱印を持つ吉岡さんと住職供養塔の前で。自身で集めた即成院の御朱印を持つ吉岡さんと住職

『平家物語』に登場する弓の名手、那須与一。実はこの方も即成院とは浅からぬ縁があり、お寺の境内には与一の供養塔があります。源義経の命を受けて京都にはせ参じたものの、病気で体を壊した与一は、当時から病気平癒や必勝祈願に御利益があるとうわさのあった即成院の仏様を信仰。一所懸命祈願したこともあって無事に病気が治り、屋島の合戦で一躍時の人となります。「昨日まで全国的に無名だった方がたった一本の矢で大成功を収めました。京都に凱旋したときには義経、弁慶に次ぐくらいの人気者になっていたのですが、実はそこですぐ武士をやめ、出家しているんです。これはうちの仏様とお約束をされていたみたいで」

 仏門に入り、最終的に即成院で亡くなった与一は、その戦功をたたえられて境内にお墓が建てられました。現在墓所は改修工事中のため、「お堂のない、屋根のない」特別な状態でお参りすることができます。与一が屋島の合戦でたった一本の矢で扇を射抜いたように、一発必中で願いがかなうよう扇に願いを書いて奉納する人も多数。奉納された扇は御本尊に祈願後、お墓に奉納され、毎年5月第4日曜の「大護摩法要」でお焚き上げされます。

極楽パワーが満ちる(?)
芸術的な特別御朱印は年6回頒布

4月1~8日の花まつり(お釈迦さま生誕祭)で授与される御朱印4月1~8日の花まつり(お釈迦さま生誕祭)で授与される御朱印 拡大画像表示

 極楽浄土を感じられるお堂から、大願成就に御利益のある那須与一の供養塔まで。世界のセレブをも魅了する即成院は、参拝の証である御朱印も魅力的です。今回ご紹介した「二十五菩薩お練り法要」や「大護摩法要」など、年6回の法要に合わせて特別御朱印を授かることができます。和紙や文字色にまでこだわった御朱印は特別な思い出の一体になりそうです。

■即成院(そくじょういん)
・住所:京都府京都市東山区泉涌寺山内町28
・拝観時間・御朱印授与時間:9:00~17:00
・アクセス(または最寄駅):JR奈良線「東福寺駅」から徒歩10分
・料金:500円
・URL:http://www.negaigamatoe.com

※本堂の内陣や供養塔への特別拝観の実施については寺院へ直接確認してください