新型コロナウイルスで自ら感染リスクを負いながら、昼夜、治療に当たっている医療従事者。都立病院はコロナ専用病床の確保で増収となったものの、あくまで公務員である現場のスタッフに「特別賞与」を支給することができない。小池百合子都知事は独立行政法人化を急ぎ、現場の人々に報いるべきだ。(東京都議会議員 川松真一朗)
私が菅首相に伝えた都の病床確保の遅れ
病院は国の補助で増収、医療スタッフは?
新型コロナウイルスの感染拡大により、6月1日から緊急事態宣言が東京都などで再延長されました。ゴールはなかなか見えませんが、ワクチン接種が進みつつあり、決して気は抜けませんが希望の光は差し込んでいます。
一方で、都内でも新規感染者数が6月9日時点で440人と下げ止まっており、医療提供体制を引き続き強固なものに整えておく必要は全く薄れていません。
医療提供体制の確保のために、菅義偉政権は何もやっていないのか?政府はお金を出し渋っているのではないか?こうした批判は、私の耳にも届いています。全国ではともかく、東京都で考えられる医療提供体制の強化に必要な施策を、都議会議員である私なりに提示してみたいと思います。
都立の8病院と、都保健医療公社が運営する6病院は合わせて「都立・公社病院」と呼ばれ、都の管轄下にあります。これらの病院の現場で、何らかの目詰まりは起きていないのでしょうか。
緊急事態宣言の対象となり、緊急事態措置を実施すべき区域とされた都道府県の病院では、コロナ専門病床を用意すると、その確保料として、重症者向け病床の場合、国の補助金から1床当たり1950万円が支給されます。重症者病床以外は900万円です。これらは患者を受け入れたかどうかに一切かかわらず、あくまで、ベッドを用意した時点で確定する補助金です。
さらに、患者を受け入れずに病床を確保している期間があっても、1日当たり7万1000円の補助が出ます。疑問を呈する声もあるでしょうが、コロナ患者は、いつ病院に運び込まれるか分かりません。そのため、コロナ病床に他のけがや病気の患者に使わせず、空いた状態で確保している必要があり、その分だけ減収となるのを補填する目的があります。
年初に小池百合子都知事ら首都圏4都県の知事が政府に緊急事態宣言を発出要請した際、私は菅首相に面談して、次のように申し上げました。
「都立病院は、目標のコロナ専門病床数1000床に対して、500床しか確保していません」
「都に対しては、政府からも都立病院をより活用するよう、改めてお願いしていただけませんか」
菅首相からは「国は病床確保のために、本当に財政支出をしている。なぜ、都立病院は病床を確保できないのだろうか」との指摘を受けました。
国が財政支出しているのに、各病院で医療人材、資器材が確保できないのは、なぜなのか――?これはまさに、「都立公社病院」という枠組みが原因ではないかと考えています。