後手に回るコロナ対策、最後の切り札は自衛隊の「野戦病院」設置だ写真はイメージです Photo:PIXTA

新型コロナ対策で政府のさまざま失策が指摘されているが、最も問題なのは医療崩壊だ。今こそ、政府は一人でも多くの感染者の命を守るために最後の「切り札」を切るべき時である。そこで私は自衛隊による「野戦病院」の設立を提案したい。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

医療体制の確立が遅々として進まない

 新型コロナウイルス感染症には、3つの対策が必要だと考えている。「感染拡大を防ぐ対策」「ワクチン開発・接種」「医療体制の確立」である。

 前者2つについては、さまざまな課題や問題はあるものの、一定の成果は出てきている。ワクチン接種率は開発途上国並みの世界110位前後にとどまっているが(東京新聞『日本の接種、世界100位以下 発展途上国の水準、欧米と差』)、9月末までに国内対象者全員分のワクチンを確保するという見通しを発表していて、高齢者接種が本格的に始まった。とにもかくにも、少しずつだが、前に進み始めている部分はある。

 しかし、遅々として解消しない問題が「医療体制の確立」だ。大阪など、重症者数が病床を上回り、中軽症者が病院に入れず、命を落とす人が増えている。まさに、医療崩壊の危機にある。

 だが、感染者数が何十倍もの欧米で「医療崩壊」が起きたという話はもう聞こえてこない。なぜ日本はいまだに医療崩壊が起きるのか。医学界・医療行政の「縦割り」の問題で柔軟な病床の確保ができないこと(本連載第264回)、新型コロナの政策を決める「分科会」に、感染症以外の医学者が入っていないために、「医療体制」の議論が行われず、「感染を防ぐ対策」のみ議論され続けてきたことを指摘してきた(第265回)。

 しかし、今、新型コロナに感染し、入院している人たち・入院できずにいる人たちの命を守るためには早急に手を打つしかない。