米国有数の年金基金であるペンシルベニア州の公立学校職員退職年金基金(PSERS)は、一見すると筆者や読者とはまるで似たところがないようだ。純資産は660億ドル(約7兆円)で、昨年支払った運用報酬は5億1500万ドルだった。純資産の40%以上を買収案件やベンチャーキャピタル、ヘッジファンドなどの排他的な投資に充てている。ただ、最も基本的なレベルで、この巨大な年金基金はいかにも筆者や読者と似通っている。低金利の世界でリターンを上げるのに苦労しているのだ。こうした状況では、ポートフォリオの大小にかかわらず誰もが切羽詰まって希望的観測を抱くようになることがある。カリフォルニア州メンローパークにある機関投資家向けコンサルティング会社、アラン・ビラー・アンド・アソシエーツのジョン・スケルベム最高経営責任者(CEO)は、「投資家として誰もが直面している課題は、金利の崩壊によって過去と同じ収益率を達成することが非常に困難になっているということだ」と語る。現金や債券の利回りがゼロに近ければ、「その上に伝統的な資産を積み重ねるだけでは十分ではない」。