「投資を始めたほうがよいとは思うけれど、なかなか踏み出せない」という人は多いもの。その背中を押してほしくて家計相談に来られる、という人も増えています。資産のあるご家庭の大部分は投資をしているのに、資産がないことに悩むご家庭の大部分は投資をしていない、または躊躇(ちゅうちょ)しているという歴然とした差を感じます。お金があるから投資ができる、ないからできないということではなく、やはり正しい情報を得て理解して取り組めているか否かが、資産ができる、できないの差を生んでいるのです。(家計再生コンサルタント 横山光昭)
51歳会社員。資産を増やしたいが妻は投資に消極的
会社員のSさん(51歳)は、現在600万円の貯金があります。ご家族は専業主婦の妻(49歳)、高校2年生の長女、中学1年生の長男です。長女は1年後、長男は5年後に大学入学を意識する時期を迎えますが、貯金がなかなか増えません。
今の貯金額では長女の大学費用で消えてしまう可能性が高く、そうなると長男の大学進学費用、自分たちの老後資金が残りません。そこを不安に思い、資産を増やすことを目的に家計相談に来られました。相談前から、iDeCoやつみたてNISAといった投資に取り組むことが効果的だということも意識されています。Sさんの同僚が難なく子どもを私立大学に入れ、老後資金の不安もないというので、どのようにそんなに上手にためられたのかと聞いたところ、「投資のおかげ」だと話していたそうです。そんなことからSさんは「投資を始めたほうがよいのではないか」と思っているとのことでした。ただ、表情を見ていると妻は保守的で、あまり投資を良く思っていないように見受けられます。