年金の手取り額を試算するのは本当に手間がかかる。しかし、退職金の受け取り方や年金を受け取り始める年齢を判断する際に「手取りベース」で考えることは非常に重要だ。そこで今回は、「額面は同じでも住んでいる場所によって年金の手取り額は異なる」という衝撃の事実を検証した試算表を公開する。(ファイナンシャルプランナー、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
年金の手取り額試算は
本当に手間がかかる
「手取り計算」をするのが大好きだ。家計を振り返る際にも、これからの生活設計を立てるにも、所得税・住民税、社会保険料を引いた「実際に使えるお金」を知るのは必要不可欠だからだ。
よく試算するのは、「給与収入」と「年金収入」の手取り額だが、このうち手間がかかるのは「年金の手取り」だ。年金生活に入ると、自治体の国民健康保険、介護保険に加入することになり、各自治体で保険料の計算式は異なる上、保険料を算出しないと所得税・住民税の税額計算ができない。そのため、計算が複雑で作業工程は多い。手書きメモとエクセルを使って試算、検算を繰り返して手取り額を出す。
最近は「公的年金の繰り下げ受給」が話題に上ることが多いので、メディアから試算を頼まれる機会が増えている。本当に大変な作業なので、繁忙期は断りたいと思うときもある。でも、「手取り計算好き」だから断れない(作業の大変さを想像できない人の依頼は断っているが)。
一発計算は不可能だけれど、何とかして作業工程を減らそうと決心し、ファイナンシャルプランナー(FP)でエクセルの達人に「こういう計算シートをエクセルで作ってほしい」とロジックを伝え、シート作成を依頼した。
そしてそのシートが数日前に納品された(とても、うれしい!)。せっかくだからシートを活用して「年金の手取り」で記事を1本書いてみることにする。今回は「額面は同じでも住んでいる場所によって年金の手取り額は異なる」という衝撃の事実を検証しよう。