なかなか出口が見えてこないコロナ禍の中、マスクをつけることで引き起こされる「マスク頭痛」がクローズアップされている。しかも、マスクとの関連が分かりやすい頭痛だけでなく、帰宅してマスクを外した途端に起きるマスク頭痛まであるという。原因や対処法について、頭痛に詳しい東京女子医科大学病院(東京都新宿区)頭痛外来の清水俊彦客員教授に話を聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
――マスク頭痛はどうして起きるのでしょう?
原因の一つは、血液の中の二酸化炭素濃度の上昇です。飛沫(ひまつ)抑制効果が高いとされる不織布製のマスクは通気性が悪いケースが多く、隙間がないよう正しく装着すればするほど結果として、自分が吐いた二酸化炭素濃度の高い息をまたすぐに吸うことになります。二酸化炭素には、血管を拡張させる作用があるため、脳の血管が膨れて、血管の周りに網目状に分布しセンサーの役目をしている三叉(さんさ)神経を刺激し、この情報が脳に伝えられ、痛みとして感じられるとされています。こうした仕組みは片頭痛に似ています。
――マスク着用以外で二酸化炭素濃度を上昇させる疾患はありますか?
やはり呼吸器疾患ですね。代表的なのはCOPD(閉塞性肺疾患)です。40歳以上の喫煙者または喫煙歴がある人に多く見られる疾患で、たばこの煙や大気汚染物質などの有害物質を長年吸い込み続けること起こります。
COPDの患者さんには明け方、頭痛で目が覚めるという人が多いんです。肺の換気が悪いために、寝ている間に二酸化炭素がたまってしまい、それが脳の血管を広げて頭痛を起こしてしまうんですね。
――ストレスとの関係はどうですか?