働き方の多様化が進み、ビジネスパーソンがキャリアの途中で退職して、「起業」するという働き方を選ぶ人も珍しくありません。また、大企業であってもこの先の見通しが立ちにくい会社も少なくなく、30代、40代のうちに、将来の独立に備えておきたいと考える人もいるでしょう。そこで今回は、起業して成功するための3つの条件についてお話しします。
条件(1)
お客さまや社会から評価される自分の強みを生かす
小宮コンサルタンツ代表
最初に自分の強みや得意なことは何かを十分に理解して、その強み・得意なことが社会に通用するのか、必要とされているのかどうかを考える必要があります。単に「もうかる」と思ってやってみてもうまくいかないことも多いからです。やりたいと思っている仕事や、誰も手がけていない商品・サービスの開発が自分の強みや得意なこととは限りません。次の(2)で説明することとも関係しますが、それでは「差別化」ができないからです。
例を挙げると、ビル・ゲイツは、友人のポール・アレンと共同で1975年にマイクロソフトを創業し、紆余(うよ)曲折を経て「Windows」を開発、パソコンソフトの世界で成功を収めました。子どもの頃から才能を発揮していたマーク・ザッカーバーグは、ハーバード大学在籍中に「Facebook」を完成させ、大手企業が示した巨額の買収提案を蹴って、さらに独自の強みに磨きをかけました。
この二人に共通していることは、ソフトウエアの開発という強みを持ち、“自分が開発するソフトウエアは、社会が必要としているものだ”ということを見通していたことです。結果として二人は巨万の富を築きましたが、強みを生かすことを考えず、「もうける」ことを優先させていたら成功していなかったかも知れません。
もちろん、もうけなければ食べていくことはできませんが、もうけはお客さまや社会が評価した結果として得られるものです。まずは、自分の能力で、他人や他社と違ってお客さまや社会に評価されることは何なのかを徹底的に考えないといけません。