キューバでは先週末に全土で活発な抗議行動が起き、同国はソ連崩壊時以来の最も厳しい試練に直面することになった。しかし、フィデル・カストロ氏が基盤を築いた同国のシステムは容易には崩れない。そして現政権担当者らの体制維持の決意も固い。キューバ当局は、最初は抗議行動の発生に面食らったものの、その後は素早く強力な対応策を講じた。インターネットサービスを遮断するとともに、急激に広がった抗議行動を抑え込むため、政権支持の暴力的グループを警察の支援に回らせた。キューバ情勢の論客らは1990年代には、ソ連の崩壊を受けてキューバの体制も瓦解(がかい)すると予想していた。キューバが政治的に孤立し、苦況にあった同国経済を支えてきた支援資金が途絶えたからだ。食料とエネルギーの広範な不足は、カストロ氏が「特別な時期」と呼んだ期間の特徴だった。しかし、容赦ない圧政と、巧みな日和見主義の組み合わせが共産党の支配継続を可能にした。