全米第1位の最高峰ビジネススクール(U.S. News & World Report調べ)、スタンフォード大学経営大学院で何年にもわたって大きな人気を博している「権力のレッスン」がある。デボラ・グルーンフェルド教授がその内容を『スタンフォードの権力のレッスン』として刊行、ナイキ社長兼CEOジョン・ドナホーが「本音の言葉で権力のからくりを教えてくれる」、フェイスブックCOOシェリル・サンドバーグが「権力についての考え方、使い方を一変し、自分の中に眠っている大きな力に気づかせてくれる」と絶賛するなど、大きな話題となっている。「権力の心理学」を25年間研究してきた教授の集大成ともいうべきその内容とは? 世界のトップエリートがこぞって学んでいる教えを、本書から一部、特別公開する。
服はその人が「何者か」を示す
私たちは服を着、役者は衣装を身につけるが、効果は同じだ。私たちは実用性や審美性、スタイリッシュという理由だけで着るものを選ぶことはない。持ち物(小道具)と同様、服もそれを着ている人が何者であるかを示す。
服は、他者に意味を伝えて影響を与え、それが反射して着ている当人に影響を与える。身にまとう服と手に持った物は、自分にも相手にも自分は何者であるかを伝え、共通の現実を強化する。
この目的のために、劇場の外やカメラが回っていないときでも、劇中の衣装を身につける俳優がいることはよく知られている。演じる人物のように歩き、話し、文字通りキャラクターになりきるためだ。俳優ではない私たちも、パワフルに行動しようとするときは、着る服を慎重に選ぶ必要がある。それは目標を助けもするし、妨げもする。