連載第11回は、自動車教習所で営業力強化を説く労働組合委員長を紹介しよう。少子化が進み、運転免許を取ろうとする教習生が減り続け、この業界もまたシュリンクしている。「午後4時の業界」とも言われるなか、委員長が考え付いた妙案とは……。

 あなたは、生き残ることができるか?

 なお、本人の了解により、今回も実名でお伝えすることをお断りしておく。


今回のシュリンク業界――自動車教習所

 警察庁が発表した運転免許統計によると、公安委員会が認定した指定自動車教習所の卒業者数は20年ほど前に約260万人だったが、最新の調査(2011年)では約153万人にまで減った。教習所の数も、10年ほど前に1500近かったが、2011年には1366にまで落ち込んでいる。

 各教習所は、教習料金の値下げをすることで教習生を確保しようと試るが、学生の「車離れ」もあり、スムーズには進んでいない。また、戦後地主から教習所の経営者になった層の引退に伴い、経営者層の刷新や世代交代も進む。労使紛争を抱え込む教習所も少なくなく、生き残りに向けて大きな曲がり角に入っている。


車離れにより教習生が減り続ける
伸び悩む自動車教習所の“切り札”

「怖いことですよ。率直に言えば……。だけど、我々には免許の更新ができないようにする権限はないですから……。日本は既得権を取り上げることに抵抗がありますからね」

 上北沢自動車学校(世田谷区)教習員の斉藤孝行さん(52)は、考え込んだ後、こう答える。