欧米諸国は、新型コロナウイルス感染症と共に生きていく方法を学びつつある。感染の波は繰り返し欧米各国を襲ったが、回数を重ねるごとに経済的打撃は小さくなっている。
感染力の強いデルタ株が主体となった現在の感染の波に、欧米経済が以前よりうまく持ちこたえている決定的要因はワクチンだ。新規感染者が増えているにもかかわらず、ワクチン効果で入院患者と死者の数は減っている。
成人の88%が少なくとも1回のワクチン接種を受けている英国では、先週に入って新規感染者数が減っている上、死亡率が前回の波を大幅に下回っている。このため、今月に行動制限措置の大半を解除したにもかかわらず、デルタ株による感染の波が収まりつつあるとの期待が芽生え始めている。
しかし、政府や産業界がパンデミック(感染症の世界的大流行)に順応するために多くの策を取ってきたことも、感染の波が繰り返されるたびに経済の対応が改善されている要因になっている。
米国と欧州の各国政府は現在、パンデミックの第1波の際に導入したような大規模なロックダウン(封鎖措置)を回避している。それは、もっと選択的な行動制限措置によって、以前と同様の効果を実現できると考えているからだ。