米10年金利が低下
景気・物価への期待が後退
今年の米10年金利は、年初の0.9%台から3月後半に1.7%台後半まで上昇した後、7月には一時1.1%台まで低下した。10年金利が低下している理由として、米景気と物価の上振れ期待の後退が挙げられる。
昨年のコロナ禍以降、アメリカの政策当局は、景気と物価を押し上げる政策をフル稼働してきた。米連邦準備制度理事会(FRB)は、2020年8月にインフレ率が一時的に2%を上回ることを容認し、長期的に平均2%インフレの目標達成を目指す方針に変更した。さらにFRBは、2020年12月に資産買入を「目標である最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展があるまでそれを継続する」というフォワードガイダンスを導入した。
財政政策面でも、バイデン大統領は、2021年3月に1.9兆ドルの経済対策を成立させたうえ、総額約4兆ドルの成長戦略を発表している。その結果、米10年金利は上昇し、米10年金利と2年金利の金利差は、約1.6%と2015年以来の水準まで拡大した。