新蔵は冷蔵倉庫の中!
世界中の時間と寄り添える酒を目指す
今年7月、神奈川県で14蔵目の酒蔵が誕生した。銘柄は「HINEMOS」で、全ての時間を意味する。
代表の酒井優太さんはIT出身で海外駐在も経験。世界に向けて日本文化の発信をと、伝統産業の日本酒を選び、2018年にRiceWineを創業した。醸造は思いに賛同してくれた近郊の井上酒造の井上寛さんがOEMを担当。販売はECサイトが主でクラウドファンディングも行う。
難しい専門用語は使わず、時間をコンセプトに酒質を設計し、酒が弱い人でも気軽に楽しめるよう瓶は500mlと170ml。SHICHIJIは乾杯に向く爽快なスパークリングでアルコール度数は5度と低い。HACHIJIは甘酸っぱい濁り酒で度数は7度。英国とフランスで開催された日本酒鑑評会でも好成績を収めた。
杜氏の湯浅俊作さんは、1988年生まれ。静岡の蔵で修業後、井上酒造で杜氏を務め、全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど若手の実力派。酒井さんの注文にも抜群のセンスで応えた。
実は湯浅さんの実家は森山酒造という愛知県の酒蔵だが、父親が体調を崩して入院。後を継ぐにも建物は老朽化して厳しい。悩む湯浅さんに酒井さんは一緒に酒造りをしないかと提案した。
井上さんに相談すると、蔵は存続が大事とエールをもらい、酒造免許を神奈川に移転。新蔵を冷蔵倉庫の中に設けた。室温は5℃と四季醸造もOKで「酒造りに最高」と湯浅さん。
世にない酒を考え、革新的な醸造方法を追求し、世界中の時間と寄り添える酒を目指す。
●RiceWine・神奈川県小田原市鬼柳138-25●代表銘柄:HINEMOS SHICHIJI、同 KUJI、同 JUJI、同 JUICHIJI、同 REIJI、同 ICHIJI、同 NIJI●杜氏:湯浅俊作●主要な米の品種:国産米