新型コロナワクチン1回以上接種率

新型コロナワクチン1回以上接種率出所:首相官邸ホームページ(令和3年7月25日公表の総接種回数)

 新型コロナワクチン接種が進むに従って、接種忌避の問題が浮上してきた。この問題について経済学者の「外部性」という考え方に基づく発言も増えてきた。ワクチンを接種することは自身の感染確率を下げるだけではなくて、他人の感染確率を下げることにもつながるので、ワクチン接種を奨励する追加的インセンティブを考えるべきだという主張である。

 個人のワクチン接種が全体の利益を拡大するかどうかは、集団免疫が実現しているかに依存している。集団免疫とは人口の何割かが免疫を持てば感染拡大が起こらなくなる状態であり、当初は7割前後といわれていた。これが正しければ7割を超える部分について、個人のワクチン接種に外部性は存在しない。しかしこの数字は様々な要因で過少推計になっていたことが指摘され、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は昨年12月の米ニューヨーク・タイムズのインタビューでこの値が9割になり得ることを指摘している。