水が汚い海水浴場ランキング2021写真はイメージです Photo:PIXTA

全国558カ所を対象に
独自ランキングを作成

 東京オリンピックでトライアスロンやオープンウォータースイミングなどの会場となったお台場海浜公園の水質汚染問題が、国内外で話題となった。

 東京都の下水道の大半は、汚水と雨水を分離せずに浄化処理する「合流式」。大雨によって浄化しきれなくなった汚水が、河川などを通じてお台場がある東京湾の海に放出される結果、水質が悪化。実際、2019年には大腸菌の濃度レベルが上昇し、選手たちからトイレ臭がすると指摘された。

 遊泳者にトイレ臭を指摘されるようなビーチはあまりないだろうが、水質については全国の海水浴場で大きな差がある(なお、お台場海浜公園は、ビーチはあるものの遊泳禁止で、海水浴場ではない)。

 環境省は毎年、全国の海水浴場(川、湖沼の水浴場を含む。以下、海水浴場と表記する)の水質調査を取りまとめてきたが、今年は去年に引き続き、コロナ禍で水質調査結果の取り扱いが異なることなどを理由に中止となっている。

 そこで今回は、ダイヤモンド編集部のデータ班が各都道府県にヒアリングしたデータ、または各都道府県が開示したデータを基に、「水が汚い海水浴場ランキング」を独自に作成した。

 ランキングの対象は、7月27日現在でデータを取得できた558カ所の海水浴場とした。また、下記の都県は対象外とした。東京都(21年は水質調査を実施せず)、奈良県と徳島県(21年は開設する海水浴場無し)、香川県(開設する海水浴場無し)、沖縄県(非開示)、千葉県と神奈川県(7月27日までに回答が無かった)。

 水質の判定基準は(1)水の汚れを示す化学的酸素要求量(COD)、(2)糞(ふん)便性大腸菌群数、(3)透明度、(4)油膜の有無――の四つがあり、これらの基準によって海水浴場の水質は適(AA、A)、可(B、C)、不適の5種類で格付けられている。

 ただし、水質格付けが「C」と「不適」の海水浴場はないため、今回紹介する「水が汚い海水浴場ランキング」の対象は、水質格付けが「A」と「B」の海水浴場となる。水質格付けがBの海水浴場(全92カ所)をCODの多い順とし、さらに93位以下は水質Aの海水浴場(全68カ所)をCODの多さで同様に並べた。

 CODとは、水に含まれる有機物を酸化剤で酸化するときに、消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したもの。CODの値が高いほど、水中に存在する有機物の量が多いことを意味し、有機物による水質汚濁の程度が大きいことになる。

 先述の通り、ランキングは川、湖沼の水浴場も対象としている。長野県や滋賀県など海のない自治体に住む人も、ぜひチェックしてみてほしい。

 なお、現在は感染力が強い「デルタ株」が猛威を振るうなど新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、8月2日時点で緊急事態宣言の対象地域が6都府県(東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、沖縄)に拡大された。また、まん延防止等重点措置も5道府県(北海道、石川、兵庫、京都、福岡)に適用されている。

 さらに、8月1日には全国知事会が緊急提言をまとめ、国民向けに「都道府県境をまたぐ旅行・帰省等の原則中止・延期」を呼び掛けている。

 海水浴場の利用については、こうした状況を踏まえてくれぐれも慎重に判断してほしい。