「宣言」してしまえば、
それに反する言動はできなくなる
僕は営業マンになって最初の3年間は、会社に寝泊まりしていましたが、これも怠けないための「仕組み」の一環でした。
家は居心地がよくて、すぐに“怠けモード”に入ってしまいます。しかも、愛する妻やかわいい盛りの子どもたちもいる。家族でワイワイ遊び始めると、“仕事モード”に戻るのはしんどいものです。
その結果、仕事も中途半端になりますし、それゆえに、家族と一緒にいても「仕事の不安」が頭をよぎってしまう。結局のところ、両方ともに中途半端に終わってしまうのです。
だから、僕は、「平日は、会社に寝泊まりする」と宣言したのです。
妻にも、僕が勤めている支社のメンバーにもお客様にも、そう宣言したら、のこのこ帰宅するわけにはいきません。正直なことを言えば、家が恋しくなって、「今日はもう家に帰りたいなぁ……」と思ったことは何度もありましたが、そんなことをしたら、あまりにもカッコ悪過ぎます。だから強制的に会社に寝泊まりして、仕事を頑張るほかなくなるわけです。
しかも、会社で寝るときは、あえてマットを敷きませんでした。
寝心地をよくしてしまうと、翌朝、起きるのが余計につらくなるからです。
当時の僕は、夜10時くらいに帰社して、夜中までかかって翌日の準備をしっかりしたら、近所にあるスーパー銭湯に行ってサウナで汗を流し、会社に戻って寝袋にくるまって眠る生活を送っていました。眠りにつくのは、だいたい夜中の2~3時くらいだったでしょうか。
それでも、翌朝は6~7時には起きて、みなが出社するころには一仕事を終えて、お客様との面会に向かいたい。だけど、寝心地をよくしてしまうと、そんな時間に起きるのは不可能。そこで、あえてマットを敷かないことで、強制的に起き上がるようにしていたのです。
ただし、週末には帰宅して、土日のどちらかは7時間ぐらい眠れる日を意図的に作っていました。平日は少ない睡眠時間で、とことん仕事と向き合っていましたが、そんな生活をなんとか頑張り通すことができたのは、「5日頑張れば必ず寝られる日がある」という“小さなご褒美”を用意していたからなのです。
アポイントを入れてしまえば、
強制的に動かざるを得ない
お客様とのアポイントを数週間先までビッシリ埋めるのも、「強制力」として作用しました。
仕事をやっていれば、調子いいときもあれば悪いときもあります。そして、どうも気乗りしないときには、ついついダラダラしてしまいがちですが、お客様とのアポイントが決まっていれば、四の五の言っていられません。お客様と面会するために、しっかりと準備をするほかないのです。
そして、気乗りしないままであっても、お客様と会うために動き続けていれば、だんだん気持ちも前向きになってきますし、「いいこと」にも遭遇します。スランプを抜け出す最高の特効薬は、「動く」ことなのです。
そのためにも、「強制的」に自分を動かすために、数週間先までスケジュール帳をビッシリと埋め尽くす。それは、「将来のダメな自分」のために“愛の鞭”を用意するようなものなのです。
そういえば、僕は、会社の表彰式に参加するついでに、年に2回は1週間ほどの休暇をもらい、家族で海外旅行に出かけることにしていますが、必ず、帰国した当日に、お客様とのアポイントを入れることにしています。
時差ボケを強制的に修正するとともに、一気に“仕事モード”に切り替えるためです。1週間以上も海外で休暇をとると、いろいろと言い訳を作り、すぐに仕事に切り替えることができないと自分でよくわかっています。だから、帰宅してシャワーを浴びて、すぐにお客様とのアポイントに向かいます。そうすることで、強制的に通常通りの“仕事モード”に戻るわけです。
しかも、そのときにお目にかかったお客様は、「え? 今日、海外旅行から帰ってきたんですか? なのに、もう仕事?」と驚いてくださるので、“話のネタ”としてももってこい。いいことづくめなのです。