プルデンシャル生命保険で「前人未到」の圧倒的な業績を残した「伝説の営業マン」である金沢景敏さん。営業マンになった当初はたいへん苦労しましたが、あることをきっかけに「売ろう」とするのをやめた結果、自然にお客様から次々と「あなたからサービスを買いたい」と連絡が入るようになりました。どうすれば、そのような営業スタイルを作り上げることができるのか? 本連載では、金沢さんの初著作『超★営業思考』を抜粋しながら、その「秘密」をお伝えしてまいります。

「運がいい人」と「運が悪い人」の決定的な違いは何か?写真はイメージです。Photo: Adobe Stock

ピンチに陥ったときに
問われるのは「思考法」である

 ピンチはチャンスである――。

 よく言われることですが、これは真理だと思います。

 ピンチに陥ったときに、いちばんダメなのは「ピンチに陥っている」ことから目をそむけることですが、二番目にダメなのは「もうダメだ」と諦めてしまうことです。生き残るために重要なのは、ピンチに陥っている現実をしっかり見据えたうえで、そこにチャンスを見出す「思考法」なのです。

 起きている事実を変えることはできませんが、その状況をどのように解釈するかは自由。ピンチに陥ったときにマイナスの思考に支配されるか、そこに隠れているチャンスを見出そうとするかで、人生は大きく変わってくるのです。

 そして、どんな状況にもチャンスがあるというのは事実です。

 そのことを、僕は自らの実体験を通して体得していました。

 例えば、両親の事業が倒産して、早稲田大学を退学するしかない状況に追い込まれたのは明らかに大ピンチでしたが、見方によっては、それは僕にとって大チャンスでもありました。両親が破産をして早稲田を中退するしかなかったために、二度も受験に失敗した京大に再チャレンジするチャンスを手にすることができたからです。

 しかも、受験まで「2ヵ月」というピンチだったからこそ、「なんとしても京大に受かってやる」と“火事場のバカ力”が湧き出てきて、必死に勉強することができた結果、三度目の正直で京大に合格することができたのです。

 もちろん、あの渦中にいたときは、正直キツかった。

 だけど、あの経験から「ピンチはチャンスである」「どんな状況にもチャンスはある」と確信できたことは、僕の強みになったと思います。

 営業マンになってから、僕は、クーリングオフされたときをはじめ、大小さまざまなピンチを経験してきました。いや、毎日、なんらかのピンチがあったように思います(そもそも、人生とはピンチの連続。いや、ピンチの連続のことを人生というのかもしれません)。

 しかし、どんな状況に追い込まれても、僕は、「大丈夫だ。なんとかなる」「このピンチをチャンスに変えることができる」と信じることができました。これは、苦しい状況が続いても心を折られることなく、「結果」を出すまで頑張り抜くうえで、非常に大きなことだったと思います。

“ドタキャン”されたら、
「時間」をプレゼントされたと考える

 とはいえ、僕だってピンチに陥ったら落ち込みます。

 それは、人間として自然な反応でしょう。だから、僕は、そんなときに自分にかける言葉をいくつか持っていました。

「ちょっと苦しいな」という局面に陥ったら、「オモロなってきた」「よし来い」「望むところや」などと自分に声をかけるようにしていたのです。そうすることによって、マイナスに傾きそうな「思考」を断ち切るとともに、自分が置かれた状況の中に「明るい材料」を探す思考モードへとスイッチを切り替えるわけです。

 例えば、こんなことがありました。

「運がいい人」と「運が悪い人」の決定的な違いは何か?金沢景敏(かなざわ・あきとし)
元プルデンシャル生命保険ライフプランナー AthReebo(アスリーボ)株式会社 代表取締役
1979年大阪府出身。京都大学ではアメリカンフットボール部で活躍。大学卒業後、TBS入社。テレビ局の看板で「自分がエラくなった」と勘違いしている自分自身に疑問を感じて、2012年に退職。完全歩合制の世界で自分を試すべく、プルデンシャル生命保険に転職した。当初は、思うように成績を上げられず苦戦を強いられるなか、一冊の本との出会いから、「売ろうとするから、売れない」ことに気づき、営業スタイルを一変させる。
そして、1年目にして個人保険部門で日本一。また3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRT(Million Dollar Round Table)の6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、自ら営業をすることなく「あなたから買いたい」と言われる営業スタイルを確立し、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な業績をあげた。
2020年10月、プルデンシャル生命保険を退職。人生トータルでアスリートの生涯価値を最大化し、新たな価値と収益を創出するAthReebo(アスリーボ)株式会社を設立した。著書に『超★営業思考』(ダイヤモンド社)。