「不動産の相続登記」義務化で罰則も!知らなきゃマズいポイントを解説不動産登記に関する法改正、知っておきたいポイントとは? Photo:PIXTA

今年4月、不動産登記に関する法改正が行われた。相続によって生じた不動産の名義変更で登記が義務化。義務違反の場合には罰則が設けられることになったのだ。「そのうちやればいい」で済まされなくなった不動産登記。気を付けるべきポイントとは何か。司法書士の岡信太郎氏が解説する。

不動産の「相続登記」が義務化
気を付けなければいけないこととは?

 昨今のコロナ禍において、法務省そして国会で審議されてきた法案があることをご存じでしょうか?

 その法案とは、私たちの生活に直結する民法と不動産登記法の改正に関するものです。正式名称は、「民法等の一部を改正する法律」と呼ばれています。実は、連日の新型コロナウイルスに関する報道の中、今年の4月21日に国会ですでに可決され、そして同月28日に公布に至っています。

 この法律改正で、いったい何が決まったのか? 最も影響が大きいと考えられるのが、不動産の名義変更である相続登記が義務化されたことです。

 不動産の名義変更(以下、「登記」で統一)に関する手続きは、不動産登記法という法律で定められています。これまで、不動産の名義人である所有者が亡くなったとしても、登記をするかしないかは当事者の“任意”とされてきました。不動産登記法は、明治時代に制定された法律です。大正、昭和、平成と時を経てもなお、登記をするかしないかは個人の意思に委ねられていたのです。

 ところが、任意であるこの登記に今回メスが入れられました。相続を原因とした所有者の変更があった場合には、3年以内に登記をしないといけないと明文化されたのです。

次ページ以降では、「相続登記の義務化」によって何が変わるのか、注意しておくべきポイントや、うまく活用したい新設の制度について解説します。