コロナ禍で皆さんの営業は、どのように変化しましたか?「直接面会できない」「商品・サービスを見せられない(伝えられない)」「相手先の会社や個人の雰囲気・空気がつかめない」「直接相手を訪ねていくことで示せていた誠意が伝わらない」など、これまでの方法ではうまくいかず、悩んでいた時期もあるでしょう。しかし、その反面、営業成績が落ちるどころか、伸ばしている人がいることも承知のはず。何が違うのでしょうか。その違いは、すでに7年読み継がれている本書『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』で明かされています。そして、オンライン営業のスキルを加えてパワーアップしたのが、『[新版]「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』。本書よりいつの時代もどんな業種でも結果を残す営業スキルを伝授します。

なぜ初面会で売れたのか?Photo: Adobe Stock

営業とはわかちあい。その鍵は「質問」

 これまでのお話、どのように感じられましたでしょうか?

営業マンの武器は「口の巧さ」ではなく「純粋な動機」である
説明ゼロでクロージングできた理由
なぜ採用を決めたお客様は自ら役立つことを説明するのか?

 この面会のポイントを整理したいと思います。まず、なぜこのような展開になったのか、なぜこのように初面会で、即決の契約になったのか。

 それは、2時間の面会時間で私が深い話をできたからでしょう。初面会にもかかわらず、社長が自分の気持ちや欲求・ニーズ・課題を出し切ったからでしょう。社長が今まで会った人の中で、誰よりも、私に自分の気持ちを話されたと言えるかもしれません。

 私は若い頃に営業について、いろいろなことを教わりました。その中で人間関係での結び方で印象深い言葉があります。それは次のようなものでした。

「人間関係は会う回数ではない。1回の面会でどれだけお互いが深く知り合うか。それが大事である。一流の営業マンは1回の面会で一気に深め合うことができる。さらにすごい営業マンは、その1回の面会で、お客様を感動さえさせる。1時間ほどの面会で、お客様を立ち上がらせ『あなたのような方に会えてよかった。本当にありがとう』と抱きつかれさえするのだ」

 この話に私も感動しました。今まで、そういう営業マンにどうしたらなれるかを一生懸命考えてきました。もちろん、そのレベルにはまだまだ達してはいません。しかし、それに近い場面も出てくるようになりました。そして、わかったことは、お互いの信頼関係とは、互いの人生をわかちあうことから始まるということ。それは、互いの生き方のわかちあいです。

 つまり、どういう生き方をしてきたかという「過去」と、これからどういう生き方を目指しているかという「未来」、今はどうなのかという「現在」なのです。これを互いに話し合うことです。

 あなたの親友のことを考えてみてください。親友とは包み隠さず、互いに何でも話し合える仲のはずです。それはまさしく互いの過去を知り、目指していることも知っているからでしょう。だからこそ、互いの近況も遠慮なく話し合える仲なのです。家族以上に話し合えることもあるはずです。これは互いの個人的なことを深く知り合う仲という言い方もできるでしょう。

 この関係をお客様ともつくればいいのです。営業の場合は、お客様のことをまず先に聞かせていただくことでしょう。次に自分のことも明かし、わかちあうのです。そうすれば、あなたは1回の面会でも互いにわかりあい、お客様と親友のようにもなれるのです。

 よく、「ここだけの話だけどね」「初めて会う人にこんなことをお話しするのは初めてだけど」「なんか、不思議に喋らされたね」などと言われたことがある人もいるでしょう。それはまさに互いにわかりあい、親友に近づいた証拠なのです。

 互いにわかりあい、理解し合える仲になること。そうなると、二人は正直な気持ちで話し合えます。誰にも明かしたことのなかった「本音」で、です。それは、その人の本当の欲求・ニーズ・課題などです。

 このような話の中で、あなたはお客様に対して、「お役立ちへの純粋な動機」を湧き上がらせることができます。そのときには、あなたは営業マンというよりも、お客様の協力者として、相談に乗ったり、アドバイスできたり、自信を持って提案ができるのです。

 そのための鍵は何なのか? それが「質問」なのです。

 質問によって、営業マンのあなたはお客様との話の内容をコントロールし、個人的な過去のことから、今後目指しているもの、現在の仕事のこと、そして、お客様の現状の欲求・ニーズ・課題のすべてを聞けるようになるのです。