7月初め、ジョー・バイデン米大統領はホワイトハウスのイーストルームで、アフガニスタンでの戦争がベトナム戦争と同じように不名誉な終わりを迎えるとの提言にいら立っていた。バイデン氏は、アフガンの首都カブールにある米大使館の屋根から職員が退避させられるような状況にはならないと語った。同氏は4月の時点で、9月11日までに米軍の完全撤退を指示していた。バイデン氏の楽観は、過去20年にわたり米国の歴代政権が犯してきた誤算の、新たな一例にすぎない。米国は米国民2500人の命――そして15万人のアフガニスタン人の命も――を犠牲にして、アフガニスタンを安全で親欧米の民主国家として再建しようとした。だが反政府武装勢力タリバンは、すさまじいスピードでアフガンを奪還した。