12月16日に衆院選が行なわれることになりました。そこで政権交代となり、次は自民党中心の政権ができる可能性が高いと思われますが、では次の政権は日本経済を本当に成長させられるでしょうか。

民主党政権による民間への過剰介入は
企業の競争力を低下させた

 自民党の安倍総裁は14日(水)に行なわれた党首討論の中で、「(民自の)どちらがデフレを脱却し、経済を力強く成長させていくにふさわしいか。……それを(国民に)決めていただこうではありませんか」と発言しています。

 確かに民主党政権は、デフレを克服できないまま消費税増税は行なうという、経済成長という観点から明らかにマイナスの政策対応を行なってきました。そう考えると、安倍総裁が“自民党なら日本経済を成長させられる”と暗に自信を示すのも当然ですが、次の政権が本当にそれを実現できるかを考えるには、まず民主党政権の経済政策の失敗を総括する必要があります。

 そこで大事なのは、経済政策というとすぐにデフレとか消費税といったマクロ政策ばかりに目が行きがちですが、民主党政権はそれ以外、つまりミクロ政策でも失敗を重ねてきたことではないでしょうか。

 具体的には、政府が必要以上に産業や企業に過剰介入するようになり、その延長で企業の側も何かあるとすぐに政府に泣きついてカネを無心するようになったということです。その具体例として、詳細の説明は省きますが、日本航空(JAL)、東京電力、ルネサス エレクトロニクスなど、いくつもの名前をあげることができます。

 もちろん、企業の業績が振るわず、地方の景気も悪い一因は、政府のマクロ政策の失敗によるデフレと円高の放置にあります。それは間違いありません。しかし、同時に、民主党政権3年の悪弊で政府の過剰介入が当たり前になり、困ったら政府にすがれば予算で面倒みてくれると思うようになりました。結果として現場の力は強いにも拘らずイノベーションの創出を怠るようになった民間の経営者や地方の首長にも、責任の一端があるのではないでしょうか。国に甘える民間や地方がグローバル競争の中で生き残れるはずがないからです。

 即ち、総選挙を経て誕生する新政権が、デフレ脱却や円高是正に加え、そうした民間や地方の甘えをどこまで断とうとするかが、日本経済の再生のためには不可欠なのです。