日本航空(JAL)が、来年1月から、欧米向け路線の座席をリニューアルする。

 ボーイング777-300ERのファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスの全4クラスで、品質を向上させた。

 全面的な座席の入れ替えは、2002年10月以来、じつに10年ぶりのことだ。JALは10年1月に会社更生法の適用を申請したが、それまでは慢性的な経営不振のため投資資金が捻出できず、座席のリニューアルが不十分だった。

JALは国際線の座席リニューアルで、悲願だったビジネスクラスのフルフラット化を実現した

 今回リニューアルの最大の特徴は、「長年、切なる願いだった」(植木義晴・JAL社長)というビジネスクラスのフルフラット化だ。

 従来のJALのビジネスクラスは、2002年にリニューアルしたシェル型で、リクライニングを倒しても完全に水平にはならなかった。

 しかし、いまや世界で、高品質・高サービスとの評価が高いエアラインのビジネスクラスは、フルフラットが主流になっている。ライバルの全日本空輸(ANA)は10年にフルフラットシートを導入、隣席と互い違いに配置することでプライバシー性を確保して高い評価を受けた。

 このため、JALは特に国際線で、「座席品質がANAに劣後している」(JAL幹部)との認識を持っており、今回のリニューアルでANAを追撃する構えだ。

 今回JALは、このビジネスクラスのフルフラット化に加え、すべてのクラスで座席の前後間隔(ピッチ)を広げて快適性を高めた。具体的には、ビジネスクラスのピッチ幅が152.4センチメートルから215.9センチメートルに、プレミアムエコノミーが96.5センチメートルから106.6センチメートルに、エコノミークラスは78.7センチメートルから83.8~86.3センチメートルに拡大した。