それは、「産業変革は1年でみんなが集まりすぎて、そのあと失望に至る。でも、幻滅期に入ってから15年たった時に振り返ってみると、社会基盤を変えている。本当に大事なのは、後ろの15年で社会基盤を変えるくらい、気付かないうちに普及していることだ」というものです。

 つまり、本当はハイプではなく、後ろの二つのフェーズ「啓蒙活動期」「生産性の安定器」を説明するためにある、産業革命の議論なんですよ。それが、「ドットコムバブル」みたいなものが来た時に、「いかに最初のハイプの時期にお金を集めて、幻滅期の谷を耐えていくか?」みたいな議論にすり替わってしまったんですけど。

本当のイノベーションは、いつも遅れてやってくるワケ尾原和啓氏氏の近著『プロセスエコノミー』が7月28日に発売された。発行:幻冬舎

 周さんがおっしゃったように、2005年に「Web2.0」という言葉が言われ始めました。インターネットはもともと双方向なもので、だれもが発信できるものなんだけど、当時は最初のインターネットの線が細くて、アップロードが遅いしスマホみたいに気軽にできないから、一部のクリエイターや発信できる人だけの片方向で始まっちゃったんですよね。

 それが、2005年くらいにブロードバンドと一部のガラケーが生まれ始めて、アップロードが生まれた時に「Web2.0」が生まれて。本当に、まさに15年たって、社会基盤としても全部を変更するところに変わってきた、というのが今の話ですよね。

山口 そうですね。