積極採用で巨大化が進む外資系総合ファームでは、実際にどれほど人員数が拡大してきたのか――。そんな素朴な疑問を解き明かすべく、長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、日本で事業を展開する総合系ファーム、アクセンチュアとビッグ4(デロイト、PwC、EY、KPMG)の国内人員数を大公開。ダイヤモンド編集部が独自に集計した、昨春から直近までの人員数の推移を基に、二極化が生じ始めた国内コンサル市場の現況を浮き彫りにする。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平、山本 輝)
「総合系」は「戦略系」の13倍!
巨大化を遂げる最新の人員数を公開
今年3月時点で総計3万9000人超、1年で3500人余りが増加――。
これは、ダイヤモンド編集部が独自に集計した主要な外資系総合ファーム5社、アクセンチュアとビッグ4(デロイト、PwC、EY、KPMG)の国内人員数の実情を示したものである。
本連載記事『戦略コンサル3強は「MBB」から「MBA」の新時代へ!?国内人員数でカーニーが3位のベインを下剋上』では、外資系戦略ファームかいわいに到来した新トレンドを解説した。3強の頭文字を取った俗称「MBB」(マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベイン・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ)の一角を占めるベインを、最新の国内人員数でA.T.カーニーが上回った実態を明らかにした。
そもそもコンサル業務において、上流の戦略策定を手掛けるのが「戦略系」ファームである一方、より現場に近い業務支援など下流の領域まで包括的に手掛ける「総合系」はカバー範囲が広く、陣容も戦略系より大規模になりやすい。
そして、日本で事業を展開する総合系ファームの代表格が、10年で4倍超に人員を急増させてきたアクセンチュアや、大手会計事務所にひもづくコンサルグループ・通称「ビッグ4」に他ならない。
何しろ、前出の記事に登場した戦略ファーム6社の国内人員数は合計3000人程度なのに対し、今回集計対象とした総合ファーム5社では冒頭の通り約3万9000人と、13倍ほどに上る。過去1年で増えた総合系ファームの人員数だけで、直近の戦略系ファーム全体を上回る規模を誇るのだ。
コンサルの基本的なビジネスモデルは、端的に言えば「単価×稼働率×人員数」に求められる。事業拡大には各工数の改善が必要だが、多くの業界関係者が「単価や稼働率の上昇は容易ではない」と口にする。顧客に値上げを要請すれば、競合に流れかねず、稼働率も相対的に高水準のファームが多いからだ。つまり、高成長を続けるには「人員数」の確保が不可欠。それだけに、各社は積極採用でしのぎを削ってきた。
次ページでは、ダイヤモンド編集部が独自に集計した、昨春から直近までの人員数の推移を明らかにする。すると、5社の間で優勝劣敗が浮き彫りとなった。一方、伸び率トップは「意外なファーム」がランクインした。それらの実数と併せて、二極化が生じ始めた国内コンサル市場の最新の動向をひもとく。