ユーロは対ドルで9カ月ぶりの低水準近辺で取引されている。背景にあるのは、ユーロ圏が低金利を維持し、米国より経済回復に時間がかかるとの投資家の見立てだ。欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の景気回復を支援するため、当面は金融緩和を継続する意向だ。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内に金融緩和政策の転換に着手する方針を示唆している。こうした政策の違いは投資家にとって、米国債をはじめとするドル資産を保有すれば、ドイツなど国債利回りが既にマイナスになっているユーロ圏の資産を保有するより、多くの利益を得られる可能性を意味する。マネックス・ヨーロッパのシニア外国為替アナリスト、サイモン・ハーベイ氏は、「先進国市場の回復がもう少し成熟段階へと徐々に入るにつれ、各国中銀は政策を引き締め始めるが、ECBはその列の最後尾にとどまるだろう」とし、「そこでは利回りは得られない」と語った。