競争社会アメリカでマインドフルネスは再発見された
ヨーダ「そう考えると、これがアメリカで爆発的に流行した理由もよくわかってくるぞ。
アメリカ人は、子どものころから成功することを宿命づけれられ、自分に鞭打ちながら生きとる。自由の国などと言われておるが、自由だからこそ何かをやり続けることが求められとるんじゃ。何もしないでぼーっとすることは罪とされる文化じゃな。成功や目標達成へのプレッシャーと常に戦わねばならん。競争は必至。成功するためには勝つしかないからな。
しかし、それにもいよいよ限界が見えてきた。アメリカ人はすばやく仕事をこなしたり、効率よくお金を稼いだりする方法は知っとるが、立ち止まる方法についてはこれまで考えたことがなかった。アクセルはあるがブレーキのない車のようなものじゃ。
そんなとき、はるか東洋から持ち込まれたマインドフルネスが再発見された。休息の方法を知らなかったアメリカ人たちは、『これぞ自分たちが求めていたものだ!』と言わんばかりに、これに飛びついた。そしていまに至る、というわけじゃ――」
内面が休まらないと真の休息にはならない
ヨーダの語ってみせたストーリーはもっともらしく思われた。「マインドフルネス=休息法」という補助線を引いてみると、これが世界的な流行を呼んだ理由もよくわかる。
そして同時に、これが日本人にも、いまのナツ自身にも必要だということにも納得せざるを得なかった。なぜなら、「疲れている」という意味では、日本人もアメリカ人に引けを取らないはずだからだ。
ヨーダ「じゃからこそ、〈モーメント〉はマインドフルネスで救えるといったんじゃ。ナツは『スタッフに覇気がない』と言ったが、その原因はおそらく肉体的な疲労ではない。
君の伯父さんも含めて、問題は脳の疲れじゃ。身体が疲れるのは忙しく働き回ったときじゃが、脳はもっといろんな理由で疲労する。どれだけ休暇を取ろうと、なかなか解消する問題ではないぞ。
こうして組織まるごとが疲れていくケースは、アメリカだけでなく日本にもあるはずじゃ。組織は疲労する。これを知っておった優秀な企業トップたちは、いち早くマインドフルネスを企業に導入したというわけじゃな。
彼ら個人は、大きな成功を遂げたかもしれん。しかし、心の休息はお金では買えんのじゃよ。プライベート・ジェットで豪華な旅行をしても、何千ドルするスパに行っても、癒されない何かがある。それに彼らは気づいたんじゃろうな。
結局のところ、自分の内面が休まらなければ本当の休息にはならんということに」
(本稿は、『世界のエリートがやっている 最高の休息法』から一部を抜粋し、編集したものです)