新型コロナは収まる気配が見えず、企業のテレワークは定着していきそうだ。多くのビジネスパーソンが、WEB会議やチャットツールの使い方など、個別のノウハウには習熟してきているように見えるが、置き去りにされたままなのが「テレワークのマネジメント」手法だ。これまでと違い、目の前にいない「見えない部下」を相手に、どのように育成し、管理し、評価していけばよいのだろうか? その解決策を示したのが、パーソル総合研究所による大規模な「テレワーク調査」のデータをもとに、経営層・管理職の豊富なコーチング経験を持つ同社執行役員の髙橋豊氏が執筆した『テレワーク時代のマネジメントの教科書』だ。
立教大学教授・中原淳氏も、「科学的データにもとづく、現場ですぐに使える貴重なノウハウ!」と絶賛する本書から、テレワーク下での具体的なマネジメント術を、解説していく。
テレワーク下では人脈が広がりにくい
これまではセミナーや研修、ランチや飲み会などで他部署や他社の人と知り合い、そのご縁が仕事に発展することも日常的にありました。また仕事で出会った人を、ランチや飲みに誘ってさらに仲を深めたりすることもよく行われていました。
テレワークではそうした偶然の出会いの機会が失われてしまうため、意識的に出会いの場を増やしていく必要があります。
逆に考えれば、オンライン上のミーティングには、海外など遠方に住んでいる人が参加していることもあるので、うまくいけば出社していた頃には出会えなかったような人と出会い、予想もしていなかったような人脈を広げられるというプラス要素もあります。
オンライン上で出会いの場をつくるには、以下のようなことを意識するといいでしょう。
オンライン上の集まりやSNSに積極的に参加する
日々、いろいろなテーマでオンラインセミナーやオンラインの飲み会などが行われています。もし、自分が気になるセミナーがあったり、そういった集まりに声をかけられたときは、仕事に直接関わりがなくても、積極的に参加するようにしましょう。
大人数でのセミナーや研修会だったとしても、ブレイクアウトルーム(小さなグループに分けられたオンライン上の部屋)などで個人的に誰かと親しくなる機会があるかもしれません。
また、FacebookやLinkedInなどのSNSを積極的に使って、発信したり気になる人にアクセスしたりして、社内外を問わず交友関係を広げていくのも効果的です。こういったSNSで日常的に接点があると、リアルで会ったことがなくても、ごぶさたしていても、不思議と親近感がわくことは、皆さんも実感しておられるのではないでしょうか。
とはいえSNSはプライベートで使っている人も多いため、上司から部下に友達申請をすると困惑されることもあるかもしれません。上司は「申請されたら受ける」というくらいのスタンスがよいでしょう。
上司は意識的に、知人友人を部下に紹介
もし気になる人がいても、自分から直接コンタクトをとるのは、リアルであれオンラインであれ躊躇するものです。そのような場合には、共通の知人に間に入ってもらって、一度オンラインでのミーティングなどをセッティングしてもらえば、次回からは個人的にコンタクトをとりやすくなります。また、上記のようなSNSは誰と誰が知り合いなのかも見えるので、気になる人を紹介してもらう時にも便利です。
逆に豊富な人脈をもっているマネージャークラスの人は、ぜひ意識的に知人友人を自分の部下に紹介してあげてください。とくに、テレワーク下でキャリアをスタートさせるような若手は、将来的に人脈不足に陥る可能性があります。
本書では、テレワークのマネジメントに必須のICTを使ったコミュニケーションの方法についても詳しくお話ししています。リアルでのコミュニケーションとは違った方法論が必要です。どうぞ、ご参考にしてください。