資産運用Photo:PIXTA

難しいリタイア後の資産運用
「守りと攻め」のバランス

 リタイア後の資産運用の設計は、ファイナンシャル・プランニングにおいてよく受ける相談の一つだ。FPに尋ねれば、若いうちはイデコ(個人型確定拠出年金)や、つみたてNISAを活用して株式の比率を高めた「攻め」の積立投資をし、リタイア後には段階的に債券や現金の比率を増やして「守り」の要素を増やすのが良いといった内容を皆が異口同音に答えるに違いない。

 しかし総論はそれで良いとしても、いざ各論となると、自分に適した資産配分の答えは一つに定まらない。株式の組入れ比率の簡便な推計法として、(100-年齢)%というものもある。この推計法によると、60歳の株式の組入れ比率は、100-60=40%となる。しかし老後資金の資産配分は、年齢で一律に決められるほど単純な意思決定ではない。

 リタイア後の資産運用が難しいのは、老後の資金計画を狂わせるような投資リスクは取りたくないが、資産寿命を伸ばすためには投資リスクを取るしかないという、相反する課題に折り合いをつけねばならない点にある。以下では、この「守りと攻め」のバランスが取れた資産配分を考える手がかりを、過去データの検証結果を踏まえて考察してみよう。